被爆伝言8文字確認 広島・袋町小の壁調査

'00/2/26

 広島市に原爆が投下された直後、児童の消息を尋ねるために記した伝言の一部が、爆心地から約四百六十メートルの中区袋町、市立袋町小(当時袋町国民学校)の校舎内の壁面に残っていることが二十五日、分かった。老朽化した袋町小西校舎の解体を前に、調査していた同市教委が八文字を確認した。この校舎では昨年三月にも「寮内」の二文字が見つかっている。市教委は貴重な被爆資料として、効果的な展示方法を検討する。

 今回確認されたうち六文字は、二年生だった児童についての伝言。住所の「新川場町(しんせんばちょう)」の「新川」、父親の名前の「熊夫」と、「不明」の文字が残っていた。別の場所で、「本校訓導」と記されたうちの「校訓」の二文字も見つかった。

 これらの伝言は、文部省学術調査団の撮影隊員だった菊池俊吉氏(故人)が、被爆から二カ月後の一九四五年十月六日に撮った写真に写っており、確認の決め手になった。

 児童に関する六文字は、一階から二階へ向かう階段途中の手すり側の壁面にあった。表面の漆喰(しっくい)が自然にはがれ落ち、下地の漆喰がむき出しとなった面に、黒い字がうっすらと見える。菊池氏の写真と照合しながら、市教委が探していて見つけた。

 「校訓」の二文字は、地下へ下りる階段の一階付け根付近の壁面に残っていた。昨年見つかった「寮内」の二文字の向かい側に当たる。床から高さ約一メートル付近の漆喰をはがしたところ、黒い字が浮かび上がった。

 これらの文字は、被爆ですすが付着した壁に白色チョークで記された。市教委は、チョークの上面は後に塗られた漆喰に吸収されたが、すすはチョークがはく離材の役目を果たし、漆喰に吸収されず、壁面に残留した、とみている。

 袋町小の西校舎は、児童館などとの複合施設として整備するため、市教委が近く解体する予定。これに先立ち、今月末までの予定で伝言が残っていないか漆喰をはがして調査している。今回の八文字や「寮内」の二文字が見つかった場所は歴史展示室として部分保存することになっている。

 二年生の児童の親類に当たる安佐南区長束西三丁目、公務員曽利忠昭さん(58)は「本当に残っていたのですか。ぜひ見に行きたい」と話している。

この記事は中国新聞(http://www.chugoku-np.co.jp/)より転載しています。