被爆レストハウスの改築 財政難で凍結/広島市

'00/3/10

 広島市中区の平和記念公園内に残っている被爆建物、市レストハウスの改築計画について市は九日、財政難を理由に、凍結することを明らかにした。レストハウスは市が一九九五年、解体・新築方針を決めたが、文化庁や市民グループから保存要求を突き付けられ、設計すら手掛けていない。

 市議会予算特別委員会で市側が「多額の費用がかかる。改築計画を凍結し、必要最低限の措置として二〇〇〇年度に屋根を補修する」と説明した。凍結期間については言及していない。

 レストハウスには現在、市観光協会が入居しており、観光案内所や売店、休憩所もある。市は、地上部分を解体・新築、地下は現状保存する方針を決めている。総事業費は改築方法によって五〜二億円。

 しかし、原爆ドームが九六年末、世界遺産に登録され、登録要件として基本的に保存が望ましいとされるバッファゾーン(緩衝地帯)内に入った。市内部でも意見が分かれ、同年度予算の設計費五千八百万円を翌年度に繰り越した揚げ句、執行しなかった。

 レストハウスは二九(昭和四)年、大正屋呉服店として建てられた。原爆投下時は燃料会館だった。鉄筋の地下一階、地上三階建て延べ三百十六平方メートル。爆心地の南西百七十メートルと至近距離だったが、屋根と壁の一部が大破するにとどまった。

 市民グループ「元大正屋呉服店を保存する会」の代表世話人の一人、安佐南区相田五丁目、山瀬明さん(73)は市の凍結方針を「財政を口実に意思決定を避け、文化庁やわれわれの要望をその場しのぎでごまかそうとしているのではないか」と話している。

【写真説明】広島市が改築計画凍結を打ち出した被爆建物、市レストハウス

この記事は中国新聞(http://www.chugoku-np.co.jp/)より転載しています。