被爆伝言保存へ検討委/広島市教育長に聞く

'00/3/15

 改築計画がある被爆建物、広島市立袋町小学校西校舎(中区)の保存予定区域外で、被爆直後に消息や連絡先などを書かれたとみられる「伝言」が新たに見つかったことについて、同市の池原資実(もとみ)教育長に十四日、どう対応するかを聞いた。教育長は、書かれた時期が被爆直後と特定されれば、学識経験者を交えた保存検討委員会を設置する考えを明らかにし、結論によっては「保存区域を広げる可能性もある」と述べた。(持田謙二)

 ―今回、校舎一階南側の児童館の黒板裏で、少なくとも八人以上の人名やメッセージなどが見つかりました。価値をどうみますか。

 被爆直後のものである可能性は高いとみているが、当時の写真など裏づける材料がない。今月中をめどに、肉眼で判読できない部分を科学的な手法を使って読み取る作業を進め、判明した人名や地名を手掛かりに消息を尋ねる。西校舎の一部は昭和二十年代、市教委事務局が使っていたが、今日(十四日)になって当時勤務していた職員が中区で健在であることが分かった。近く訪問し、証言を得たい。

 ―発見場所は解体予定区域です。保存区域を見直す考えはありませんか。

 被爆直後に書かれたと特定されれば、保存検討委を立ち上げ、適切な継承方法を話し合ってもらう。保存区域を広げるよう結論が出されれば従い、新しく建設する複合施設の設計を見直す可能性もある。ただ、個人的には黒板裏の壁はそのまま切り取って保存しても意味は伝わると思っている。

 ―二〇〇二年春完成予定の工期に影響しますか。

 完成時期は動かせない。検討委は少なくとも新年度早々には結論を出してもらわないといけない。被爆資料を活用し、継承するのは重要だが、子どもたちや市民の教育環境の充実も同じように大切だ。

 ―広島市は、民間の被爆建物の保存には補助制度をつくるなど、力を入れています。校舎取り壊しは矛盾しませんか。

 建物全体を残す意義があるのか、その一部でよいのかは難しい問題だが、釣り合いを考えざるを得ない。

 ―共存を図る方法はないものでしょうか。

 被爆資料は利用されてこそ意味があると思う。量が減る分は映像記録で補い、後世の人が「伝言」を身近に見学できる展示によって質を保つ方法もある。計画では複合施設の中央に、出入りできる形で保存区域を残す。歴史を継承し、未来への希望を抱ける場にしたい。

【写真説明】「袋町西校舎の保存区域拡大もあり得る」と話す池原教育長

この記事は中国新聞(http://www.chugoku-np.co.jp/)より転載しています。