解体迫る広島・袋町小 卒業生ら500人惜別

'99/12/5

 原爆投下の直後、被爆者の消息を記した「伝言」の一部が残っている広島市中区の袋町小学校(中山龍興校長、二百十三人)で四日、改築のため取り壊される校舎とのお別れ会があった。全国各地から訪れた卒業生をはじめ、約五百人が思い出を語り合った。

 取り壊されるのは、今年三月に壁の漆喰(しっくい)の下から伝言が見つかった被爆建物の西校舎(三階建て)と、戦後建てられた北校舎(三階建て)。二棟とも来春までに解体が始まる。在校生も参加したお別れの式で、中山校長は「昭和十二(一九三七)年にできた西校舎は、当時は珍しい鉄筋コンクリート製で、原爆にも耐えた」と語った。

 大正時代や戦前、戦後など歴代の卒業アルバムと、学校行事などの写真の展示会も開かれた。写真の中に懐かしい顔を見つけ、思い出話に浸る卒業生も。

 「次代に残す伝言」のコーナーでは、教室の黒板に張られた紙に自分の思いを書き込んだ。「原爆の後、(学校に被爆者が運び込まれて)多くの人々が治療を受けた事実を決して忘れてはならない」「思い出深い校舎が消えるのは寂しい」などのメッセージが目立った。

 卒業生の中区上幟町、会社員浜田美恵子さん(43)は「取り壊し前に伝言が見つかったのは、運命的なものを感じる。自分の一部がなくなるようで悲しいけど、解体は時代の流れで仕方がない」と複雑な表情。広島市教委は、伝言が見つかった壁を含む西校舎の階段周りなどの部分保存を決めているが、卒業生有志が全面保存を求める八百人余の署名を一日、市へ提出した。

【写真説明】取り壊される校舎とのお別れ会で、懐かしい写真を見入る卒業生たち(広島市中区の袋町小)

この記事は中国新聞(http://www.chugoku-np.co.jp/)より転載しています。